「仏壇はないんですけど……」
菜々が申し訳ない気持ちで言うと、永輝が写真の前に立ち、手を合わせて静かな声で言った。
「バー・サンドリヨンのオーナー・バーテンダーの深森永輝と申します。菜々さんはバイトを掛け持ちしながら、うちでも笑顔で一生懸命働いてくれています。きちんとそばで見守っていきますので、どうぞ安心してください」
「あ、ありがとうございます」
菜々が永輝を見ると、彼が目元を緩めてうなずいた。菜々も彼の横で手を合わせる。
「お父さん、お母さん、ずっと戻ってこなくてごめんなさい。それから、二十年間、大切に育ててくれてありがとう……。お父さんとお母さんの子どもで幸せだった。お父さん、お母さん、ずっと大好きだよ……」
ずっと思っていて、でもずっと言えなかった感謝の気持ち。それを菜々はようやく言葉にできた。
(お父さんとお母さんに届いたかどうかはわからないけど……)
そう思ってやるせない笑みを浮かべたとき、永輝が言った。
「きっと伝わってるよ」
「え?」
菜々が隣に立つ彼を見上げると、永輝は三人で映っている家族写真を見ていた。兵庫県の有馬温泉に行ったときに浴衣姿で三人で撮ったもので、三人で映っている写真としては一番新しいものだ。
菜々が申し訳ない気持ちで言うと、永輝が写真の前に立ち、手を合わせて静かな声で言った。
「バー・サンドリヨンのオーナー・バーテンダーの深森永輝と申します。菜々さんはバイトを掛け持ちしながら、うちでも笑顔で一生懸命働いてくれています。きちんとそばで見守っていきますので、どうぞ安心してください」
「あ、ありがとうございます」
菜々が永輝を見ると、彼が目元を緩めてうなずいた。菜々も彼の横で手を合わせる。
「お父さん、お母さん、ずっと戻ってこなくてごめんなさい。それから、二十年間、大切に育ててくれてありがとう……。お父さんとお母さんの子どもで幸せだった。お父さん、お母さん、ずっと大好きだよ……」
ずっと思っていて、でもずっと言えなかった感謝の気持ち。それを菜々はようやく言葉にできた。
(お父さんとお母さんに届いたかどうかはわからないけど……)
そう思ってやるせない笑みを浮かべたとき、永輝が言った。
「きっと伝わってるよ」
「え?」
菜々が隣に立つ彼を見上げると、永輝は三人で映っている家族写真を見ていた。兵庫県の有馬温泉に行ったときに浴衣姿で三人で撮ったもので、三人で映っている写真としては一番新しいものだ。


