座ったまま動こうとしない菜々を気遣ってくれての永輝の言葉なのだろうが、とても心強かった。菜々はシートベルトを外して車から降りた。震える手で門扉を開けると、それは懐かしい小さな音をキィと立てた。コンクリートの階段を上って焦げ茶色の扉の前に立ち、バッグから鍵を取り出して鍵穴に差し込んだ。カチリと音がして、二年ぶりの訪問を迎えるべく鍵が開く。
菜々はゴクリと喉を鳴らして、ドアを引いて開けた。
「ただいま……」
誰もいない家は、むわっとした熱気がこもっていてほこりっぽい。壁のスイッチを押すと玄関のライトが点き、一度瞬きをしてからオレンジ色の明かりで廊下を照らし出した。
「電気も水道も使えるままにしてるので、今エアコンを入れますね。それから、お茶を淹れるので、飲んでいってください。あ、でも、お茶もコーヒーも賞味期限が切れてるかな……」
「いいよ、気にしないで」
菜々は靴を脱いで永輝を促し、ダイニングの隣の和室へと向かった。和風のライトに照らされた部屋の隅の小さなデスクに、葬儀で使った両親の写真と位牌が置いてある。仏壇代わりのそこには、ほかに家族三人で旅行に行ったときの写真や、菜々の大学の入学式のときの写真なども並んでいた。
菜々はゴクリと喉を鳴らして、ドアを引いて開けた。
「ただいま……」
誰もいない家は、むわっとした熱気がこもっていてほこりっぽい。壁のスイッチを押すと玄関のライトが点き、一度瞬きをしてからオレンジ色の明かりで廊下を照らし出した。
「電気も水道も使えるままにしてるので、今エアコンを入れますね。それから、お茶を淹れるので、飲んでいってください。あ、でも、お茶もコーヒーも賞味期限が切れてるかな……」
「いいよ、気にしないで」
菜々は靴を脱いで永輝を促し、ダイニングの隣の和室へと向かった。和風のライトに照らされた部屋の隅の小さなデスクに、葬儀で使った両親の写真と位牌が置いてある。仏壇代わりのそこには、ほかに家族三人で旅行に行ったときの写真や、菜々の大学の入学式のときの写真なども並んでいた。


