シンデレラに恋のカクテル・マジック

 菜々の頬を涙が伝った。菜々の肩に回された永輝の手に力がこもる。

「どうしていいかわからないまま毎日が過ぎていって……気づいたら四回生になっていたんです。単位もぜんぜん足りないし、生活もしていかなくちゃいけないし……。両親の生命保険金が下りたけど、三人で暮らしていた家を手放したくなくて、それで家のローンを払って……残りを学費に……。でも、やっぱり誰もいない家にいるのはつらくて、アパートを借りて……」

 思い出が津波のように押し寄せてきて、それ以上話を続けられなかった。菜々はたまらず永輝の肩に顔をうずめた。

「一人でがんばってきたんだね」

 永輝の優しい声が耳元で聞こえた。誰かに受け止めてほしくて、甘えたくて、菜々は目の前にいる永輝の首に両手を回してしがみつく。

「好きなだけ泣くといいよ」

 永輝に言われて、菜々は子どものように声を上げて泣いた。今まで胸の奥底に無理矢理押し込めていた感情が膨れあがり、涙が止めどなくあふれてくる。

 永輝はただ黙って、ずっと菜々の背中を優しく撫でてくれていた。