シンデレラに恋のカクテル・マジック

「結婚二十五周年のお祝いに……両親が二人だけで旅行に行ったんです。そのとき泊まった旅館が……前日の大雨で起こった土砂崩れに巻き込まれて……。でも、そのとき私は親の留守をいいことに、友達とショッピングに行ったりカラオケに行ったりと好き放題に遊んでて……現地の警察の人が自宅の電話に何度も連絡してくれてたのに……次の日に帰宅するまで……気づかなかったんです」

 冷たくなった両親が泥の中から見つかったというのに、菜々は友達と遊び回っていた。菜々が自宅の留守番電話に残されたメッセージに気づいて飛行機に飛び乗り、現地に向かったときには、両親は一日以上、遺体安置所で寂しく横たわっていたのだ。

「二人一緒に見つかってよかった、とか慰めてくれる人もいたけど……私、自分が許せなくて……」

 そのときのことを思い出して、また目の前がにじんできた。菜々の肩に永輝の片手が回され、菜々は彼の肩に頬を預けて話を続ける。

「母はどこかのお金持ちの家の娘だったみたいで、親に決められた結婚相手がいたんです。気乗りしないまま、その相手と会うはずだった料亭に行ったら、板前だった父がいて……詳しくは知らないんですけど、そのとき二人は恋に落ちたんだそうです。でも、いくら説得しようとしても、母の父が猛反対して結婚を認めてくれず、料亭に圧力をかけて父をクビにしたんです。それで、二人は駆け落ちして……それから私が生まれて。だから、私たちずっと三人で生きてきたんです。それなのに、私一人だけ……」