シンデレラに恋のカクテル・マジック

 菜々が聞き慣れない言葉に首を傾げているうちに、エイキと名乗ったそのバーテンダーは、サンドリヨンのドアを開けて菜々を店内に引き入れていた。こぢんまりとしたバーの中はさっき見たときと同じ。シックなダークブラウンの羽目板張りの壁を、ランプ型の落ち着いた照明がほんのり照らしていて、バーカウンターの向こうの棚にはさまざまな大きさや色、ラベルのボトルが所狭しと並んでいる。店内には十人ほどの客がいて、丸テーブルやカウンターに座って、それぞれドリンクを飲んでいた。だが、音楽だけはさっきと違う。先ほどはノリのいい洋楽が流れていたのに、今は落ち着いたジャズがかかっている。

「お、エイキがナンパしてきた」

 カウンター席に座っている、三十歳くらいの明るい茶髪の男性が言って笑った。

「アホ。サンドリヨンはおまえみたいなチャラ男じゃなく、女性にステキなひとときを過ごしてもらうための店なんだ。せっかく覗いてくれた女性をそのまま帰すわけにはいかないからな」

 エイキが菜々に左手で空いているカウンター席を示した。

「あ、いえ、私……」

 菜々は戸惑いながら一歩下がったが、エイキが耳元に顔を近づけてささやく。