思わず見惚れてしまった自分をたしなめる。
「入ろうかと思ったんですけど、飲み物を粗末にするようなお店はやめておきます」
そう言って歩き出そうとしたが、バーテンダーが早足で歩いてきて菜々の前に回り込んだ。
「粗末にってどういうこと?」
眉を寄せて心外だとでも言いたげな表情で見下ろされ、菜々はゴクリと喉を鳴らす。
「あの、ボトルを投げていたから……ドリンクが無駄になってしまったんじゃないかと……」
「ああ」
バーテンダーは納得した、というように右の拳で左の手のひらをポンと叩いた。
「どうぞ、入って」
そうして菜々の手首をつかむと、引っ張るようにして歩き出す。
「いえ、私、いいんです。帰るつもりだったんで」
「いや、そういうわけにはいかない。店に入ろうとしてくれたお客様をそのまま帰すなんて、フレア・バーテンダー、エイキの名が廃る」
「フレア・バーテンダー……エイキ……?」
「入ろうかと思ったんですけど、飲み物を粗末にするようなお店はやめておきます」
そう言って歩き出そうとしたが、バーテンダーが早足で歩いてきて菜々の前に回り込んだ。
「粗末にってどういうこと?」
眉を寄せて心外だとでも言いたげな表情で見下ろされ、菜々はゴクリと喉を鳴らす。
「あの、ボトルを投げていたから……ドリンクが無駄になってしまったんじゃないかと……」
「ああ」
バーテンダーは納得した、というように右の拳で左の手のひらをポンと叩いた。
「どうぞ、入って」
そうして菜々の手首をつかむと、引っ張るようにして歩き出す。
「いえ、私、いいんです。帰るつもりだったんで」
「いや、そういうわけにはいかない。店に入ろうとしてくれたお客様をそのまま帰すなんて、フレア・バーテンダー、エイキの名が廃る」
「フレア・バーテンダー……エイキ……?」


