シンデレラに恋のカクテル・マジック

 菜々は左手でボトルを持って右手の肘の上にのせた。バランスを取るくらいなら簡単だと思ったのに、肘はカーブしているのでのせる位置が悪ければバランスが取れず、意外と難しい。

「あ、とっ……」

 その場でふらふらすると、永輝に笑われた。

「もっと重心を低くしないと。下半身の強さも大事なんだ」
「そ、そうですよね……」

 菜々が肘の上のボトルと格闘している間に、永輝は手の甲でバランスを取るハンド・バランスや、腕の内側でバランスを取るアーム・バランスなどを披露してくれた。

「あーん、悔しい。一つぐらいできるようになりたい!」

 ハンド・バランスならできそうだと思ったが、菜々の小さな手の甲でバランスを取るのはなかなか難しい。

「いい感じだよ」

 永輝に言われた直後、手の甲からボトルが落ちかけ、彼がひょいとキャッチしてくれた。渡してくれたボトルで再び挑戦する。

「よっ……ほっ、とっ」

 ぐらつくボトルのバランスを取ろうとすると、つい妙な声が出てしまう。

「何そのかけ声」

 永輝に笑われた。でも、手の甲の上でキープできて、菜々は誇らしげに笑う。