「菜々ちゃんに頼まれたからね。ものすごく気乗りしないけど、仕方ないから黙っておいてやる」
それを聞いて一臣がホッと口元を緩めた。
そんなやりとりを見ていた吉村は、なぜ全員で社長に会いに行くのか疑問に思っているはずなのに、そんなことはおくびにも出さずに廊下を静かに戻り始めた。その後に永輝と菜々、一臣が続く。長い廊下を曲がってダイニングの横を通り、書斎に着くと、吉村がドアをノックした。
「助手の方をお呼びしました。菜々様と和倉様もご一緒です」
「かまわん。准教授が帰られたら、二人に話がある」
良介の声が返ってきた。健太の取材を受けたのが嬉しかったのか、生き生きした声だった。
「失礼いたします」
吉村がドアノブに手をかけ、ゆっくりと開けた。ドアの向こうには、健太の背中と、彼と向かい合ってソファに座っている祖父の顔が見えた。健太が立ち上がって永輝に歩み寄る。
「葛葉社長、おいとまする前に助手を紹介させてください」
健太に言われて、良介は彼から永輝に視線を移したが、わずかに眉を寄せた。
「どこかでお目にかかったことが……?」
永輝が一歩中に入って恭しくお辞儀をする。
それを聞いて一臣がホッと口元を緩めた。
そんなやりとりを見ていた吉村は、なぜ全員で社長に会いに行くのか疑問に思っているはずなのに、そんなことはおくびにも出さずに廊下を静かに戻り始めた。その後に永輝と菜々、一臣が続く。長い廊下を曲がってダイニングの横を通り、書斎に着くと、吉村がドアをノックした。
「助手の方をお呼びしました。菜々様と和倉様もご一緒です」
「かまわん。准教授が帰られたら、二人に話がある」
良介の声が返ってきた。健太の取材を受けたのが嬉しかったのか、生き生きした声だった。
「失礼いたします」
吉村がドアノブに手をかけ、ゆっくりと開けた。ドアの向こうには、健太の背中と、彼と向かい合ってソファに座っている祖父の顔が見えた。健太が立ち上がって永輝に歩み寄る。
「葛葉社長、おいとまする前に助手を紹介させてください」
健太に言われて、良介は彼から永輝に視線を移したが、わずかに眉を寄せた。
「どこかでお目にかかったことが……?」
永輝が一歩中に入って恭しくお辞儀をする。


