シンデレラに恋のカクテル・マジック

「確かに、和倉さんがしたことはひどいことだと思う。でも、私、永輝さんのことを嫌いになんてならなかった。永輝さんの気持ちが私から離れてしまったのかもしれないと疑いながらも、私はあなたのことを好きで好きで、どうしようもなく好きだってことを思い知ったんだもの」

 菜々の言葉を聞いて、永輝が頬が赤く染まったのをごまかすように片手で顔を撫でた。

「菜々ちゃんはお人好しだな」
「んー、どうかな。ただずるいだけかも」

 もし一臣が祖父に正直に話して、自分のしたことでクビになったとしたら、それで将来を失った彼は菜々や永輝、それに祖父を恨むことになるかもしれない。誰かを恨んだり苦しめたり、誰かに恨まれたりするようなことは、もう誰の身にも起こってほしくなかったのだ。

 菜々の意志が固いのを見て、永輝が不満顔で言う。

「まあ……菜々ちゃんがどうしても、と言うのなら、和倉さんの悪行は黙っておいてやってもいいけどな」
「うん、どうしても! お願い!」

 菜々が祈るように両手を組んで上目遣いで見ると、とたんに永輝が表情を緩めた。

「菜々ちゃんがそこまで言うなら仕方ない」

 そうして菜々の耳元に口を寄せてささやく。