シンデレラに恋のカクテル・マジック

「菜々さんが初めてここに来た日……社長がペースメーカーを使っているからと言って、携帯電話を預かった。菜々さんが美容室にいる間に、深森さんへの過去の発信履歴を削除して……アドレス帳の深森さんの番号を秘書のものに書き換えた」
「秘書? じゃあ、〝昼からずっとベッドの中で、さすがにあたしも彼もクタクタなの〟って……〝彼の恋人はあなただけじゃないのよ〟って言ったあの女性は……」

 菜々の言葉に一臣が低い声でぼそりと答える。

「秘書だ」

 永輝が眉を吊り上げた。

「あんたは秘書にそんなことを言わせたのか? 秘書も大変だな、そんな仕事までやらされるなんてな」

 一臣がカッと顔を赤くして叫ぶように言う。

「秘書より僕の方が大変だ! どれだけ社長にいいように使われてきたか。あの人は葛葉一族以外の人間を会社の駒だと思ってる!」
「だから孫娘を手に入れて、今度は自分が人をいいように扱う立場に立とうって訳か。とんでもない男だな」

 永輝は呆れたように言ったが、すぐに険しい声で続ける。

「今の話、社長にもすべて話してもらうぞ。そして、菜々ちゃんとは結婚できないって正直に言うんだな」
「くっ……」