シンデレラに恋のカクテル・マジック

 勉強が手につかず単位が足りなくなって、四回生で就職活動に集中できずにどこからも内定をもらえなかったこと、とりあえず食べていくためにアルバイトを始めたら、第二新卒としての就職活動にも手が回らなくなってしまったこと……。いろいろなことが蘇ってきて、菜々は口をつぐんで視線を落とした。目の前の皿の上には、夢にまで見た肉厚ベーコンとスクランブルエッグ、レタスが彩りよく盛られていて、別の皿にはこんがりきつね色に焼かれたトーストがのっている。それでも、心が浮き立たないのは、両親のことを思い出したせいだ。

「とりあえず食べようか」

 沈んだ様子を気遣うように永輝に言われて、菜々は顔を上げた。

「すみません」
「それじゃ、いただきます」

 彼がフォークとナイフを取り上げた。菜々も小さく「いただきます」と言って、コーヒーに砂糖とミルクを入れて掻き混ぜた。菜々が一口飲んだとき、永輝が軽い調子で話し始める。

「夜はだいたい七時頃からサンドリヨンを開けてるから、また気が向いたら寄ってくれると嬉しいな。毎日十時からフレア・ショーもやってるし」

「あ、昨日見せてくれましたよね。息をするのを忘れてしまうくらいかっこよかったです」