一臣がこれまで菜々にこだわっていたのは、菜々に対して恋愛感情を抱いていたからではなかったのだ。変身した菜々を〝とてもキレイですよ〟とほめてくれたのも、菜々が祖父を怒らせたときにさりげなく連れ出してくれたのも、すべて計算ずくだったのか。愕然とする菜々に彼が言う。
「くずはグループは親族経営で成功してきたから、経営陣はほとんどが葛葉一族だ。会社で身を粉にして働いても、僕はせいぜい部長止まり。血縁者じゃない者には出世を阻むガラスの天井があるんだ。柳井爽介はテニスしか能がないのに、孫ってだけで跡取りとして嘱望されている。そんなのはおかしいだろ? だから、僕はキミと結婚する。そうすれば、僕も葛葉の親族になる」
「それだけのために、好きでもない私と結婚しようとするんですか? そんなの……おかしいです」
「おかしくないさ。キミの叔母様のように後から夫を好きになれば何もおかしくない。そうだな、まずは体で僕を好きになってもらうよ」
一臣が不遜な笑みを浮かべた。その表情に背筋がゾクリとして、菜々はとっさに顔を背けたが、一臣に顎をつかまれた。
「これは僕にとって最大のチャンスなんだ。葛葉のお嬢様、絶対に逃がさないからな」
「くずはグループは親族経営で成功してきたから、経営陣はほとんどが葛葉一族だ。会社で身を粉にして働いても、僕はせいぜい部長止まり。血縁者じゃない者には出世を阻むガラスの天井があるんだ。柳井爽介はテニスしか能がないのに、孫ってだけで跡取りとして嘱望されている。そんなのはおかしいだろ? だから、僕はキミと結婚する。そうすれば、僕も葛葉の親族になる」
「それだけのために、好きでもない私と結婚しようとするんですか? そんなの……おかしいです」
「おかしくないさ。キミの叔母様のように後から夫を好きになれば何もおかしくない。そうだな、まずは体で僕を好きになってもらうよ」
一臣が不遜な笑みを浮かべた。その表情に背筋がゾクリとして、菜々はとっさに顔を背けたが、一臣に顎をつかまれた。
「これは僕にとって最大のチャンスなんだ。葛葉のお嬢様、絶対に逃がさないからな」


