シンデレラに恋のカクテル・マジック

「何か困ったことがあるようね。私でよかったら……話してみて」

 母によく似た声で親身に言われて、菜々は永輝とのことをぽつりぽつりと話し出した。

「すごく……好きな人がいるんです……」

 叔母が静かに問いかける。

「その人は……恋人?」
「だと思ってました。気持ちが通じる前からずっとそばにいて支えてくれて……」

 菜々は震える声を懸命に抑えながら話を続けた。由香里がうなずきながら耳を傾けてくれるので、菜々はついに、迎えに来た一臣の行動に嫉妬して、永輝が〝菜々ちゃんの居場所は俺の腕の中なんだ〟とまで言ってくれたのに、一日も経たないうちにほかの女性を部屋に連れ込んだことまで話していた。

 聞き終えて、由香里がため息をついた。

「さぞ……ショックを受けたでしょうね」
「はい……。今でも信じられません。というより、私が信じたくないだけなんですけど……」

 菜々の言葉を聞いて、由香里が考えるようにしながら言う。

「私ね、今でこそ落ち着いているけど、若い頃は――とくに父に柳井との婚約を無理矢理勧められた頃は――すごく疑り深かったの。恥ずかしい話だけど、やっぱりあの父のそばにいるとどうしても、何もかも父が仕組んだことなんじゃないかって疑ってしまうようになってしまって」