シンデレラに恋のカクテル・マジック

 由香里が悲しげに言った。もし二人が会えていたなら、きっとわかり合えたに違いない。

「母もきっと……叔母様に会いたかったと思います」
「だといいけれど……。私、夫に遠慮して、姉の居場所を捜そうとしなかったから……」

 由香里の声が寂しげに消えた。

「私、母が生きていた頃、何度か母に家族のことを教えてってお願いしたことがあるんです。でも、母はすごく寂しそうに〝まだ許してもらえてないし、言葉にできるほど気持ちの整理がついていないから〟って言って……教えてくれませんでした。父と過ごしているときの母はとても幸せそうだったけど、やっぱり自分の家族と縁を切ってしまったことを吹っ切れてはいなかったのかなって……今なら思います」

 由香里が菜々の手をギュッと握った。

「よかったらランチに付き合ってもらえないかしら。お姉様のことをもっと話してほしいし、あなたのことも教えてほしいわ」
「私も叔母様ともっとお話ししたいです」
「よかった。じゃあ、少し待ってて」

 由香里は内線電話で秘書に電話をかけ、外出するので午後の予定をキャンセルするよう伝えた。菜々を促してオフィスを出ると、エレベーターに乗って三階のレストラン・フロアに向かった。