柔らかな、そしてどこか懐かしいような女性の声がして、ドアが開いた。そこに立っているのは、母の佐百合と同じくらいの身長で、上品なベージュのスーツをエレガントに着こなした四十代後半くらいの女性だ。彼女が菜々を見て目を細める。
「あなたが……菜々さんね? 私が柳井由香里です」
「はっ、はいっ! 初めましてっ」
菜々は弾かれたように立ち上がり、思いつくまま口を開く。
「あのっ、日曜日にオンラインの地域情報誌に私の名前が載って、それを祖父の調査担当者の方が見つけて、昨日、迎えの人に連れられて東京に来たんですっ」
「まぁ……そうなの……。父が捜しているとは聞いたけど、やっと見つかったのね」
由香里がしみじみとした口調で言って、応接室に足を踏み入れた。背後でドアが閉まり、由香里が菜々に近づく。
「お姉様が駆け落ちしたときは……あなたと同じくらいの歳だったかしら」
由香里が言って、そっと菜々の手を握った。家事で荒れがちだった母の手とは違い、佐百合の手は滑らかで柔らかい。
「そうですね……二十三歳のときに駆け落ちしたと聞きました。私も……あと五ヵ月で二十三歳になります」
「お姉様によく似てる」
「あなたが……菜々さんね? 私が柳井由香里です」
「はっ、はいっ! 初めましてっ」
菜々は弾かれたように立ち上がり、思いつくまま口を開く。
「あのっ、日曜日にオンラインの地域情報誌に私の名前が載って、それを祖父の調査担当者の方が見つけて、昨日、迎えの人に連れられて東京に来たんですっ」
「まぁ……そうなの……。父が捜しているとは聞いたけど、やっと見つかったのね」
由香里がしみじみとした口調で言って、応接室に足を踏み入れた。背後でドアが閉まり、由香里が菜々に近づく。
「お姉様が駆け落ちしたときは……あなたと同じくらいの歳だったかしら」
由香里が言って、そっと菜々の手を握った。家事で荒れがちだった母の手とは違い、佐百合の手は滑らかで柔らかい。
「そうですね……二十三歳のときに駆け落ちしたと聞きました。私も……あと五ヵ月で二十三歳になります」
「お姉様によく似てる」


