シンデレラに恋のカクテル・マジック

「冗談……ですよね?」
「いいえ、本気です」
「だっ……て、私たち、昨日会ったばかりですよ?」
「恋に落ちるのに時間が必要ですか?」
「いえ、それは……」

 口ごもる菜々に、一臣が畳みかけるように言う。

「佐百合様のことは直接存じ上げませんが、斎城さんと初めて会った日に恋に落ちたと聞きました。そしてその強い想いと絆は生涯変わらなかったと」
「はい」
「そんな運命の出会いが、一瞬のうちに起こることだってあるんです。それが僕の場合、菜々さん、あなただったと……」

 一臣が片膝をついたまま、菜々の手を取った。反射的に引っ込めそうになった菜々の手を、彼がしっかりと握る。

「和倉さん……」
「菜々さんの周囲でこんなふうに運命が動いているのは、菜々さんが僕に出会うためだったとは思えませんか?」

 菜々が家庭教師のバイトをクビになり、雇われたサンドリヨンでフレアを教わってサマー・フェスタでパフォーマンスを行ったのも、それをオンライン地域情報誌が取り上げてくれたのも、それによって菜々の所在が祖父に明らかになったのも、すべて一臣に出会うためだったというのだろうか。