シンデレラに恋のカクテル・マジック

(ど、どういうこと? 昼からずっとベッドの中って……)

 永輝が今女性と一緒にいる。そしてその女性が、彼はクタクタになって眠っていると言う。

(嘘でしょ……)

 菜々の手の中から携帯電話が滑り落ちた。菜々は膝の上に肘をついて、両手で頭を抱える。「彼の恋人はあなただけじゃないのよ?」と言った女性の声が、頭の中にこだまする。

(だって、永輝さん……)

 もう軽い付き合いはしないと誓ったのに。菜々に信じてほしいと言ったのに。体を重ねながら何度も「好きだ」ってささやいてくれたのに……。

 永輝を信じたい気持ちがまだ消えきらず、菜々は携帯を拾い上げると、もう一度彼の番号にかけた。数回の呼び出し音の後に応答したのは、さっきの女性ではなく機械的な女性の音声だった。

「おかけになった電話番号への通話は、お客様のご希望によりおつなぎできません」

(着信拒否……されてる?)

 手の中の電話を呆然と見つめた。菜々の頬を熱いものが伝って膝の上へと落ちる。

 そのとき、部屋のドアがノックされた。

「菜々さん、僕です。着替えや洗面用具を持って来ました。入っても構いませんか?」