シンデレラに恋のカクテル・マジック

「あんなバーのアルバイトのどこがいいのだ」

 祖父が吐き捨てるように言った。

「あんなバーって……。おじい様はバーに行ったりしないのかもしれませんが、サンドリヨンはステキなバーです。おいしいドリンクと息を呑むようなフレアを提供することで、会社帰りの疲れた人や気分転換をしたいOLさんたち、それにふらっと立ち寄った人たちに少し楽しい気分になってもらうためのところです。それに、オーナーは困っている私を雇ってくれた思いやりのある人ですっ」

 菜々は一臣に諭されたことを忘れて思わず声を荒げていた。祖父が苦々しい表情で言う。

「あのオーナー・バーテンダーか。サウス・オオサカ・マガジンの写真で見たぞ。あんな人間と付き合うとろくなことにならんな」

 菜々の頬がさっと染まった。

「彼に直接会ったわけでもないのに、そんな言い方しないでくださいっ! それに、アルバイトをしているのはバーだけではありません。予備校でも塾でも……家庭教師としても働いています! 彼も……彼以外にも私を待ってくれている人がいますので、今夜のうちに帰ります」
「許さん!」