シンデレラに恋のカクテル・マジック


 その日のディナーも、昼と同じシェフによるフレンチだった。メニューは前菜のフォアグラのテリーヌ、たらば蟹と野菜のサラダ仕立て、オニオングラタンスープ、スズキのポワレ・トマトソース、仔牛フィレ肉のグリル・新緑野菜のクリーム添えという高級レストランにでも来ているかのような内容だ。良介と、彼に半ば強引に勧められた一臣は、料理に合わせてワインを飲んでいたが、菜々は遠慮した。

 デザートのりんごのシブースト・キャラメルアイス添えを食べながら、良介が菜々に言う。

「もちろん今夜は泊まるだろう?」
「そうしたいところなのですが、明日も仕事がありますので……」

 何度言えばわかってもらえるのだろう。その気持ちを押し隠して菜々は控え目に言ったが、良介は眉間にしわを刻んだ。

「なぜそんなに急いで戻ろうとするのだ」
「なぜと言われても……仕事がありますから」
「私の言うことが聞けないとは」
「言うことを聞きたくないわけではないんです」

 菜々の言葉に良介が噛み付くように言う。

「おまけに私に口答えするとは! そばに置いて教育し直さねばならんな」
「おじい様……」