「いいえ、運転手さんが一緒です」
「そっか……。おじいさんのことも心配だけど、俺は菜々ちゃんのことも心配だよ。早く帰ってきてほしい」
「はい。できるだけそうします」
「菜々ちゃん、好きだよ」
「私もです」
菜々ははにかみながら答えた。
「また連絡して」
「わかりました。それじゃあ」
「うん」
名残惜しそうな永輝の声が聞こえてきて、菜々も同じ気持ちで通話を終えた。それから予備校にも電話をかける。祖父が危篤なので今日休ませてくださいという菜々の申し出を、事務長は「遠藤さんに早く来てもらうから構わない」と快く了承してくれた。菜々はホッとして携帯電話をバッグに戻した。
ふと視線を外に向けたが、まだ高層ビル群が続いている。
「東京って高い建物ばかりですねぇ」
感心した様子の菜々に一臣が言う。
「よければお見舞いの後でどこかへご案内しますよ」
「せっかくですが、たぶんあまり時間がないと思うので遠慮させてください」
「そうですか? せっかく東京まで来てくれた孫娘に、観光名所の一つも案内しないのかと社長からお叱りを受けそうですが」
一臣が叱られるのは気の毒だが、菜々には菜々の目的がある。
「あの、祖父にはいつ会えますか?」
「自宅療養中ですので、これから田園調布の自宅に向かいます」
(田園調布!)
「そっか……。おじいさんのことも心配だけど、俺は菜々ちゃんのことも心配だよ。早く帰ってきてほしい」
「はい。できるだけそうします」
「菜々ちゃん、好きだよ」
「私もです」
菜々ははにかみながら答えた。
「また連絡して」
「わかりました。それじゃあ」
「うん」
名残惜しそうな永輝の声が聞こえてきて、菜々も同じ気持ちで通話を終えた。それから予備校にも電話をかける。祖父が危篤なので今日休ませてくださいという菜々の申し出を、事務長は「遠藤さんに早く来てもらうから構わない」と快く了承してくれた。菜々はホッとして携帯電話をバッグに戻した。
ふと視線を外に向けたが、まだ高層ビル群が続いている。
「東京って高い建物ばかりですねぇ」
感心した様子の菜々に一臣が言う。
「よければお見舞いの後でどこかへご案内しますよ」
「せっかくですが、たぶんあまり時間がないと思うので遠慮させてください」
「そうですか? せっかく東京まで来てくれた孫娘に、観光名所の一つも案内しないのかと社長からお叱りを受けそうですが」
一臣が叱られるのは気の毒だが、菜々には菜々の目的がある。
「あの、祖父にはいつ会えますか?」
「自宅療養中ですので、これから田園調布の自宅に向かいます」
(田園調布!)


