シンデレラに恋のカクテル・マジック

「天王寺区なんで地下鉄で通ってます」
「僕は家庭教師をしたことはないんですけど、そういう仕事は紹介所なんかで紹介してもらえるものなんですか?」
「私は家庭教師派遣センターに登録して、そこを通じて紹介してもらいました」

(バイトを掛け持ちしてるのがそんなに珍しいのかな?)

 そう思いながらも、菜々は一臣に訊かれるまま、仕事のことを詳しく話していた。

 やがて新幹線は京都、名古屋、新横浜、そして品川に停車し、二時間三十分足らずで目的地の東京駅に到着した。

「さすがにのぞみは速いですね」

 菜々は感心したように言ったが、彼女が驚いたのは新幹線の速さだけではなかった。東京駅前の地下駐車場に、くずはホールディングスの運転手が迎えに来ていたのだ。

「おはようございます。こちらへどうぞ」

 昨日の運転手とは同じ年頃だが別の男性が、菜々のために高級外国車の後部座席のドアを開けてくれた。

「お、おはようございます。あの、どうもありがとうございます」

 菜々は恐縮しながら座席に乗り込んだ。続いて反対側のドアから乗り込んだ一臣に、小声で問いかける。