シンデレラに恋のカクテル・マジック

「それでは失礼します。皆様、お騒がせいたしました」

 一臣が一礼してバーの出口へ向かった。菜々がバーに入ったときには気づかなかったが、ドアの横には五十歳くらいの細身の男性が立っていて、一臣のためにドアを開けた。その男性が運転手なのだろう。

 一臣に続いて運転手の男性が出て行くと、見慣れない男たちの登場に張り詰めていたバーの空気が和らいだ。

「菜々ちゃん、大丈夫だった?」

 永輝に声をかけられ、菜々はほうっと息を吐いた。

「後で……話します」
「そう。仕事帰りだろ、何か食べる?」
「あんまり食欲ないんで……野菜スティックとピーチ・フィズをお願いします」

 菜々はさっき一臣が座っていた席の隣に腰を下ろした。

「食べないと元気出ないよ」

 永輝に言われて、菜々は「じゃあ……」と考えて続ける。

「クラッカーも」

 永輝は何も答えずバーカウンターの向こうで調理をしていたが、やがて菜々の前に大きな皿をドンと置いた。

「サンドウィッチの盛り合わせとサラダ、それにピーチ・フィズ。和倉さんに何を言われたのか知らないけど、あいつのせいで菜々ちゃんが落ち込んでいるなんてムカツクんだ」