シンデレラに恋のカクテル・マジック

「穂乃花が来たんだよ。智宏と結婚するってご丁寧に報告しに。それで、俺の代わりに菜々ちゃんが泣いてくれてたんだ」
「何だ、俺はてっきり永輝が泣かせたのかと思ったよ」

 大樹が菜々の隣のスツールに腰を下ろしながら言った。

「まあ、確かに俺のために泣いてくれてたんだけど……おまえが言うとものすごく人聞きが悪いな」
「気のせいだ」

 大樹がさらりと言って、菜々を見る。

「なら、菜々ちゃん、俺のためにも泣いてくれる?」
「え?」

 菜々は首を傾げて大樹を見返した。

「金曜日に中村さん――パンツスーツの彼女の方だよ――を口説いたんだけど、もし俺と付き合って別れたらサンドリヨンに来づらくなるって理由で、振られちまった」

 健太が呆れたように言う。

「おまえ、あの後、送っていくとか言いながら口説いたのか」
「当たり前だろ。あんな美人、放っておけるか」
「よく考えろ。彼女たちはもともと永輝目当てだったんだぞ」
「わかってるさ。それでもいい女だと思ったんだから。ところで、永輝はどうするんだ? 口説けば絶対落ちると思うぞ。とくにワンピースの女の方。高崎さんって名前だったかな。穂乃花さんに振られて以来、来るもの拒まず去る者追わず、なおまえにぴったりだろ」