シンデレラに恋のカクテル・マジック

 カクテルやビールの缶が並んでいるようなイメージを勝手に持っていたが、冷蔵庫の中は意外とがらんとしていた。食材といえるものは六個入りの卵が一パックにクリームチーズが一箱、それにハムが一パック。野菜室にはしめじとほうれん草とリーフレタスだけ。

(そっか、食材はサンドリヨンの方にあるもんね)

 そんなことを思いながら、レモン味の炭酸飲料のペットボトルを取り出し、開けてゴクゴクと飲んだ。喉から体が冷えて気持ちよく、疲労も和らいだ気がする。

(窓からの景色はどんなのだろう)

 永輝がいないのをいいことに、探険気分でリビング側のカーテンを開けて外を覗いた。八月の抜けるような青空の下に住宅街が広がっていて、そのずっと向こうに中層、高層のビル群が見え、その中にひときわ高いあべのハルカスが見える。

(夜景、キレイだろうなぁ……)

 菜々はアパートの二階に住んでいるので、前のマンションに遮られてあべのハルカスが見えないのだ。

(永輝さんは夜景を見ながらカクテルを飲んだりするのかな……)

 その様子を想像しながら、菜々は炭酸飲料を飲む。

「ぷはぁ」

 腰に手を当てて息を吐き出すと、ちょうどシャワーを終えてリビング・ダイニングに戻ってきた永輝に笑われた。