シンデレラに恋のカクテル・マジック

「いえ、そんな……」

 菜々に体力がないだけなのだが、永輝にすまなさそうにされて逆に恐縮してしまった。

「相変わらず俺に気を遣うんだな。昨日、もっと気楽にしていいよって言ったのに。疲れたなら疲れたって、休憩したいならそう言ってくれたらいいんだよ」

 永輝に顔を覗き込まれて、菜々は小さくうなずいた。

「ど、努力します」
「それが気を遣ってるっていうんだ」

 永輝が菜々の額を軽く小突いた。その親しげな仕草に胸がドキドキして倒れそうになる。

「ほら、顔がのぼせてる。早く涼しい部屋に戻ろう」

 永輝が菜々の背中に手を回して、促すように押した。

(ひゃ)

 彼にとっては何でもないようなスキンシップでも、菜々には刺激的だ。余計に赤くなった顔のまま、菜々は永輝の部屋に戻り、洗面所を借りて冷たい水で顔を洗った。ほてりは収まったけれど、汗を掻いた肌にカットソーが張りついて気持ち悪い。

(タオルだけじゃなくて着替えも持って来たらよかったな)

 菜々がカットソーの裾をつまんでいるのを見て、永輝が言う。

「シャワーを浴びて汗を流してきたら?」
「あ、着替えを持って来てないんで今日は遠慮しておきます」