『………部活、入んないの』 「え?」 遠野の声が小さくて聞こえなかった。 え、なんて言ったの? 『……………和沙は部活、入んないの』 「えっ、と…」 じっと目を見られて、彼が私に話しかけることなんてあんまりない。 質問とか、いつも私ばっかり。 『なに、きょどってんの』 「違うしっ!」 だから、戸惑うのは仕方ない。 しかも、あれだ。彼は私のことを名前で呼ぶんだ。 桜崎が長いとかなんとかで。 名前で呼ばれるのは別にいいけど、少しだけドキッとしてしまうから嫌だ。