まだ、9時すぎだし。
遅れは遅れだけど、まだまだ間に合うよね?
「……行かない」
「サボり?駄目じゃん、遠野ー」
からかうように私が言えば、ピタッと足を止めて振り向く。
じっと私のことを見て、少し黙ったあと口を開いた。
「………熱だしてるお前を、置いて学校なんて行けないだろ」
何するか分かんないのに。
そう付け足したあと、彼は私の部屋から出て行った。
…なにそれ?置いていけない?
その瞬間、心臓の音がうるさいくらい鳴って、ドアを閉める音が聞こえなかった。
彼の足音も。音はほとんど。
ただ呆然と、彼の背中を見つめた。
もう、出て行ってしまった彼のことを。


