蟲狩り少女

真っ直ぐ三岳友輝の元へ向かう。


足音に気づき、脇マサヤが驚いたようにあたしを見た。


脇マサヤに油断が生まれる。


三岳友輝の拳が脇マサヤの頬をとらえた。


肌を打つ激しい音が響き、三岳友輝は脇マサヤに馬乗りになった。


何度も何度も拳を振りおろす。


脇マサヤは両腕を顔の前でクロスし、ギュッと目を閉じて耐えている。


「やめて!!」


あたしは三岳友輝と蟲に向けて声をあげた。


今まで教室では出したことのない、大きな声だ。


そして三岳友輝の前で立ち止まり、ポケットに入っているスプレーを取り出した。