蟲狩り少女

一見、てんでバラバラに飛び始めたように見えた。


でもそれは違った。


蟲たちは三岳友輝の周囲を飛び回りながら、徐々にその距離をつめていたのだ。


このままで三岳友輝が虫に囲い込まれてしまう。


そうなればもう蟲の思うがままだった。


簡単に食いつくされてしまうだろう。


あたしはスカートのポケットに手を入れて、蟲狩りの道具がちゃんと入っていることを確認する。


大丈夫。


いける。


蟲狩り師の血はドクドクと騒いでいる。


あたしはグッと足に力を込めて貯水槽の影から走り出した。