蟲狩り少女

あたしは自分の体についた蟲を洗い流し、バスタオル姿で出てきた。


廊下には今まさに仕事から帰って来たお母さんがいて、あたしの姿を見て一瞬目をパチクリさせる。


「あぁ。蟲がいたのね?」


「うん。ちょっと体にくっついて来ただけ」


「そう」


そう言い、いつもの穏やかな笑顔を見せる。


お母さんはあたし以上におっとりとした性格だと思う。


だけどその性格は蟲狩り師の妻として苦労してきたからこそ、寛大になっているということなのだ。


あたしはバスタオル姿のままリビングに投げているカバンを掴み、自室へと入った。


タオルで髪を乾かし、部屋着に着替える。