蟲狩り少女

先生はそう言い、困ったように頭をかいた。

その時だった。


「脇はインフルエンザが治ったばかりだったから、もしかしたら体調を崩して帰ったんじゃないですか?」


と、言う声が聞こえてきた。


その声は良く聞いた事のある、三岳友輝の声だった。


「そうか。それにしてはカバンが置いたままだな」


机の横にかけてあるままのカバンを見て、先生はそう言う。


今度は誰も返事をせず、代わりにただ首をかしげるだけだった。


「まぁいい、授業を始めよう」


先生はそう言い、気を取り直して教科書を開く。


それにならいあたしも自分の教科書に手をかけた。