4月に初めて出会ってからずっと想っていたこと。


一度はあきらめかけた感情。


でも今はそれが通じ合ったんだ。


嬉しくて嬉しくて、頬がジンジンと熱くなってくるのがわかった。


「ありがとう里音」


光磨があたしの頭を優しく撫でる。


嬉しさで涙があふれ、ジワリと視界が滲んだ。


「里音が辛いときは俺が助ける。俺が辛いときは里音、そばにいてくれるか?」


「もちろん……だよ!」


蟲狩り師の苦労は蟲狩り師にしかわからない。


世界でたった2人の蟲狩り師なんだから。


お母さんが清野カナと手を取り合ったように、あたしたちも手を取り合って生きていく。


光磨は指先であたしの涙をぬぐい、そしてあたしの唇に自分の唇を押し当てて来た。


暖かな感覚にクラクラしそうだ。


その瞬間、広場でサッカーをしていた子供たちが「ヒューヒュー!」とヤジを飛ばしてきた。


ハッとして身を離すあたしたち。


どうやら全部見られていたらしい。