蟲狩り少女

清野カナがお母さんの名前を呼んだのだ。


「どうしてあたしの名前を知っているんですか？」


「え？　あの人に聞いたからですよ？」


キョトンとした表情で清野カナは言う。


瞬間、胸の奥から湧きたつものがあった。


清野カナの言う『あの人』とはお父さんに他ならない。


けれど、お父さんはお母さんと知り合う前に清野カナとはわかれていたハズだ。


なのに……『あの人から聞いた』って、一体どういう事？


疑問と同時に答えは自分の中に存在していた。


お父さんはお母さんと出会ってからも清野カナと密会を続けていた。


それ以外に考えられる事はなかったから。


「母さん、その辺でやめなよ」


光磨がさすがに清野カナを止めた。