蟲狩り少女

そう言い、柔らかく微笑む。


しかしお母さんは険しい表情をしたままだった。


1人で子供を産んだ清野カナと、ちゃんと結婚をしてあたしを産んだお母さん。


同じ男だけれど境遇は違いすぎる。


今ここに4人そろっている事は悪意があるようにしか感じられないのだろう。


あたしも、この状況は異様だと感じていた。


あり得ない。


あってはいけない。


関わってはいけない関係だ。


あたしが光磨とクラスメイトになったばかりに、こんな事になってしまった。


お母さんの心は大丈夫だろうか?


今のところ蟲の姿は見えないけれど、警戒しておいた方がいい。


周囲を気にしていると、清野カナが更に言葉を続けた。


「雪花(セツカ)さん。ですよね? お名前は」