蟲狩り少女

「里音。どうしたの?」


お母さんが駆けつけて、目の前の女性を見る。


光磨の……お母さんを。


お父さんの、昔の恋人を。


女性はお母さんと視線が合うと、すぐに丁寧なお辞儀をした。


「始めまして清野カナです。光磨の母親です」


淡々と事故紹介をする女性にお母さんは目を見開き、無言のまま鋭い視線を向ける。


きっとそれは無意識のうちにしていたことなのだろう。


「お母さん?」


と、声をかけると我に返ったようにあたしを見た。


「お母さん、大丈夫?」


「えぇ、大丈夫よ」


あたしに向かってそう言い、微笑む。


そしてお母さんは清野カナに向き直った。


「なにか、用事ですか?」