蟲狩り少女

「母さん。なんでここに?」


光磨の言葉にあたしの体に電流が走った。


『母さん』


やっぱりこの人は光磨のお母さんなんだ。


胸がギュッと締め付けられて、喉からヒュゥヒュゥと空気が抜ける。


最悪のタイミングだ。


今、ついさっき大量の蟲を狩ったばかりだというのに。


玄関先での騒ぎを聞きつけて、お母さんがリビングから出てくる音がする。


グラリとメマイがして、あたしは首を振った。


しっかりしろ。


ここで絶望的になっていたんじゃ、この先の出来事がすべて悪方へ進んで行くような気がする。


あたしはしっかりと自分の両足で、自分の体重を支えた。


逃げれるのなら逃げ出したい状況だ。