蟲狩り少女

光磨は懸命になにかを呟きながらあたしの体を引く。


言の葉……。


言葉には命が宿ると昔から言われている。


人の霊魂を穏やかに天へ導くお経があるように、蟲を狩るための言の葉も存在した。


けれどそれは一番最後の手段として教えられたものだった。


スプレーも笛もない場合に使うもの。


つまりそれは光磨のスプレーがすでに尽きている事を教えてもいたのだ。


あたしは蟲たちをかき分け笛を口に持っていく。


諦めちゃいけない。


諦めればそこで終わりだ。


この蟲の量だから、光磨の心に隙間がなくても蟲がどこかへ逃げるスペースさえない。


狩るしか、ないんだ。