蟲狩り少女

そう……まるで……あたしの体内から聞こえているような……。


瞬間、毛が逆立った。


思いっきり笛をふく。


恐怖で涙が滲んで、視界は余計に悪くなった。


入っている。


あたしの中に蟲が入っている。


普通の人間なら気が付かないことだろう。


だけどあたしは蟲狩り師だ。


蟲が自分の体内へ侵入してきた感覚が、リアルに伝わってくる。


耳から侵入した一匹の蟲は、血管にそってうごめきながら進んでいく。


あたしの心の隙間を探しているんだ。


あたしが光磨の事やお母さんの事でグズグズと悩んでいるから。


それが隙間となって蟲に狙われたんだ。


笛を吹き続けても体内にいる蟲の感覚は消えてはくれない。


外にいる蟲には効果があるけれど、体内に入ってしまった蟲には効果がないのかもしれない。