蟲狩り少女

しかし、それを更にかき分けて前へと進む。


こんなに近くで笛を吹いているんだから、もっと死んでいけばいいのに!


普段思わないような、ひどい言葉が浮かんでは消える。


あたしの中にはもう、蟲へ対する嫌悪感しか存在していなかった。


人間の隙間に入り込む蟲は、人間の愚かさを教えてくれているんだ。


普段ならそんなことを考えるだろう。


だけど、今は微塵にもそんな考え方には至らなかった。


目の前の蟲が憎くて憎くて仕方がない。


その時だった。


ずぶっ……。


そんな音がした途端、あたしは体の動きを止めた。


今の音……なに?


ドクドクと心臓は跳ね上がり、嫌な汗が背中を流れる。


ずぶ……ずぶ……。


その音はすぐ近くで聞こえてくる。


外から聞こえてくる音ではない。