蟲狩り少女

だけどあたしは真っ直ぐに、ベッドがあったその場所へと向かった。


「お母さん!? お母さん、いるの!?」


両手で蟲たちをかき分け、その中にいるかもしれないお母さんを探す。


すぐにあたしの体に蟲が這い登ってきて、大群にスッポリと包み込まれてしまった。


蟲に囲まれ視界は真っ暗になる。


けれどあたしはその中で蟲をかき分け、叫んでいた。


「お母さん!! お母さん返事して!!」


今までに出したことのないくらい大きな声。


しかしそれは蟲の壁によってかき消されてしまう。


耳元では雪蟲たちが動き回るガサガサという、不快な音が常に聞こえてくる。


かき分けてもかき分けても、蟲たちは減らない。


あたしはクッ奥歯をかみしめて笛を吹いた。


目の前で蟲が水に変わる。


グズグズに溶けた蟲は触れると冷たく、芯まで冷えて行きそうなきがした。