蟲狩り少女

☆☆☆

翌日になってもお母さんの風邪は治らなかった。


布団へ向かって「おはよう」と言えば、くぐもった声で返事は来る。


けれど体は起こさず、顔も見せてくれなかった。


あたしは不安を感じながらも朝からお粥を準備して、薬と一緒にお母さんの枕元に置いて出て来た。


すぐによくなると思っていたけれど、昨日よりも悪化しているような気がする。


いつもより随分早くに学校へ行くと、図書館へ向かって風邪に効く料理の本を借りて来た。


お母さんが風邪を引いたことは今までに何度かある。


けれど今回の風邪はなんだか違うような気がして、熱心に料理本を読んだ。


「里音、そんな本借りてきてどうしたんだよ」


昼休憩中にも1人で本を読んでいると、光磨がそう声をかけて来た。


その声に相変わらずドキッとしてしまうあたし。


「お母さんが風邪ひいちゃったの」


「へぇ、それは大変だな」