蟲狩り少女

「あ、持ってる!」


そうか、スプレーと笛を同時に使えばいいんだ。


あたしはネックレスとして持ち歩いている小さな笛を、制服の胸元から取り出した。


迷わずそれを口にくわえ、思いっきり吹いた。


ピィー……!


人間にはほとんど聞こえない音に、蟲たちがもがき始める。


全身の力が奪われたようにボトボトと地面に落ちては灰に変わる。


「いいぞ……!」


徐々に朝口容子本来の姿に戻って行く。


綺麗で可愛くて、スタイルのいい彼女に。


しばらくすると蟲たちは完全にいなくなり、後にはコンクリートに横たわる朝口容子だけになった。