蟲狩り少女

そう、思っていたのだが……。


突然朝口容子がその場にヒザをつき、苦しむように両手で自分の頭を掴んで天を仰ぎ見たのだ。


その行動にあたしは戸惑う。


蟲狩りをしていてこんな行動に出た人は見た事がなかった。


「様子がおかしい」


「うん……でも、なんで?」


「わからない」


とにかく蟲スプレーを噴射し続けるあたしたち。


ここで止めてしまえば蟲の思うつぼだ。


「……もしかして、蟲が朝口さんの内側まで入り込もうとしているのかも……」


あたしはふと考えた事を口にした。


「どういうことだよ」


「表面の仲間たちが狩られるのを見て、狩られる前に獲物を殺してしまおうとしたのかもしれない」


「まさか……!」