蟲狩り少女

☆☆☆

それは突如訪れた。


あたしの不安は脇マサヤが登校を始めてから日に日に膨れ上がり、ついに膨らみすぎた風船のようにパチンッと弾ける時が来た。


「お前さ、まだインフルエンザなんじゃねぇの？」


お昼休みを謳歌していたクラスに響いたそんな声。


声の持ち主は顔を見なくてもわかったけれど、あたしはお弁当に伸ばす箸を止めて振り向いた。


案の定、そこには三岳友輝の姿があった。


三岳友輝は椅子に座っている脇マサヤの前で仁王立ちをしている。


その雰囲気から、三岳友輝は本気でそう聞いているのだとわかった。


「……違う」


脇マサヤは自分よりはるかに大柄な三岳友輝を見上げながら、そう返事をした。


教室の中はなんとなく静かになってしまって、2人の成り行きを見つめている。