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民宿へ帰るまでの間、光磨はあたしの歩調を合わせて自分が蟲狩り師だと知った経緯を話始めた。


初めて蟲が見えたのは小学校低学年の頃。


それはほとんどあたしと同時期だった。


妙な蟲が見える事を恐ろしく感じた光磨はすぐに母親に相談したそうだ。


すると母親は驚いた顔をしながらも、何も言わず光磨をお寺へ連れて行ったそうだ。


「……蟲狩り師を知っていた証拠ね」


あたしは感情を表さないように、そう言った。


「あぁ。普通子供が妙な事を言い出せば病院に連れて行くと思う。だけど、俺の母親は迷わずに俺を寺に連れて行ったんだ」


そこはきっと、あたしが蟲狩り師の修業をするために通っているお寺と同じ所だろう。