蟲狩り少女

☆☆☆

夏休み中のデパートの中は大賑わいだった。


右を向いても左を向いても、家族連れや若いカップルが目につく。


普段人ごみの中を歩かないあたしは周囲に圧倒されながら、お母さんにピッタリくっつくようにして歩いていた。


あたしと違ってお母さんはショッピングが大好きで、こういう場所も慣れているようだ。


「ほら、あそこにあるわよ」


店内を歩いてすぐにお目当ての水着売り場を見つけて、嬉しそうに笑う。


「本当だ。すごいねお母さん」


「なにがすごいの?」


「こんなに大きなお店なのに行先をすぐに見つけちゃうから」


本当に関心してそう言ったのだけれど、お母さんは目をパチクリしてあたしを見つめる。


「里音、あなたはもうちょっと外に出なさい」