GET!~アイツを振り向かせたい気持ちは120%~




結局、それから点が入ることはなく、聖堂の勝利となった。


「夏の予選では絶対に勝ちます。上まで残っててくださいね」


「俺達も気を抜かないで、戦えることを楽しみにしています」


聖堂のピッチャーと握手をして交わした言葉。


相手が3年生であろうと、実力でも負けていようと、夏の大会では負けてたまるか。


「集合!」


グラウンド整備を終えた後、監督から声がかかり、部員全員が円になる。


「今日の練習試合、お疲れ様。結果はうちの負けだった。さすが聖堂だな。力の差、技術の差、改めて俺も見せつけられたよ」


俺の親父くらいの歳の監督。被っている帽子の隙間から、白髪混じりの髪が見える。


そして、少し視線を落として話していた監督が、目線を俺達に合わせる。


「だけど、今日の練習試合で負けてよかった。勝っていたら、今後の試合で、絶対に余裕が出てくるだろうしな」


「「はいっ」」