「快二ぃー、頑張れー!」
ずっと欲しかったこの言葉。
他の子からの頑張れじゃなくて、城薗から欲しかった言葉。
アイツから応援されてんだよな、俺。
……うわ、夢みたい。
「アンタ、エースなんだから、シャキッと決めてよー!」
……まぁ、求めていた以上の言葉も聞こえたけど気にしない。
アイツがいる。
カッコイイとこ見せるチャンスだ。
ピッチャーから手放された白球を、思いっきり打った。
カキーン……
金属音とともに空へ伸びる白球。バット手放した俺は、塁へ駆け出した。
外野が空を見上げながら構える。
落ちろ、落ちろ、落ちろ!
「アウト!」
俺の打った球は、フライに終わった。
「……ダッセーなぁ、俺」
呟きながらベンチへ戻る。
今日の打席ではヒットは打ってて、でけぇのは今のが一番だったんだけどな。あーあ、カッコつかなかった。


