「すみません。ちょっと集中力切れてました」
「ったく、練習試合でも集中しろよ~?お前の球次第で、流れが変わるんだからな」
ふっと笑って、軽く俺の右肩を叩いた河辺先輩は、3年生の所へと向かった。
「かっけーよなぁ、河辺先輩」
先輩の背中を見ながら准に言う。
「だな。最近もさ、前より打率高くなってるし、苦手の克服の成果が目に見えて分かるよ」
准が、スコアボードともう一冊のノートを見比べながら言う。このノートは何度も見たことがあるけど、かなりの書き込み量だった。
俺達の弱点、活かせるところをまとめてあって、一人一人の分が付箋で区切られていて、俺達も自分で見ることが出来るノートなんだ。
これは全部准がしてくれていること。マネージャーってここまでするのか!?って、中学の時にコイツの姿を見て思ったことがある。
「チェンジ!」
そして再び、グラウンドへ足を運ぶ俺達。俺はマウンドに立った。


