「うわっ、お前抜け駆けか?俺達も行くぜ!後輩のお前に、エースの座を取られて悔しいんだからなー!」
笑いながらそういう先輩達も、グローブを片手に立ち上がった。
「先輩、これからも奪われないように、この背番号は守るつもりっすから、覚悟の方お願いします」
「ったく、生意気な後輩を持つ先輩は大変だな!」
そして、他の部員も集まり、キャッチボールを開始。
先輩達と上下関係はあるけど、チームとしての信頼関係も目に見えて分かる。だから、試合の成績にも響くのかもしれない。
甲子園出場こそまだ実現出来ていないものの、県でベスト4。今年の夏こそは、優勝して甲子園に行きたいもんだ。
「試合開始するぞー!」
整列して聖堂野球部と顔を合わせる。互いに勝利を目指して一礼して、練習試合を再開した。
「高橋くん頑張れ~!」
「聖堂に負けるなー!」
マウンドに立つ俺の耳に、様々な外野の声が耳に届く。


